迷いヒヨコ
森のくまさん
迷いヒヨコ
Contents
ZEH(ゼッチ)・ゼロエネルギー住宅とは?
ゼロエネルギー住宅とは、ZEH(Zero Energy House)と記載し、ゼッチと読みます。ゼロエネルギーハウスと言う場合もあります。
菅元首相が宣言したゼロカーボンを2050年までに達成するには、発電所で発電する電力を極力減らすことが必要になります。ですので、我々の一般の生活ではZEHが一番の省エネ対策として挙げられているのです。
ZEHは家の中で使うエネルギーをゼロにする住宅ではなく、家庭で使う電気やガスのエネルギーを家庭の太陽光発電システムなどでつくるエネルギーで賄う住宅のことを言います。
簡単に言うと
「家で使うエネルギー(の一次エネルギー換算値)」 < 「創エネルギー機器で発電できるエネルギー」
※ここで言う家で使うエネルギーは冷暖房、給湯、照明、換気に必要なエネルギーです
※創エネルギー機器とは、太陽光発電やエネファームで発電されるエネルギーのことです。
となる住宅を指します。 ですので、ZEHには創エネルギー機器が必ず必要です。
正式な定義は以下に記載があります。
参考 ZEHの定義(改定版)平成31年2月資源エネルギー庁ただし、ZEHにはある一定基準以上の断熱性能が必須となっており、以下となっています。
1(北海道) | 2(北海道) | 3 | 4 | 5 | 6(東京・大阪) | 7 | |
ZEH | 0.40 | 0.40 | 0.50 | 0.60 | 0.60 | 0.60 | 0.60 |
ZEH+(ゼッチプラス) | 0.30 | 0.30 | 0.40 | 0.40 | 0.40 | 0.50 | 0.50 |
これは、断熱性能が低いと暖房に掛かるエネルギーがかなり上がってしまうため、断熱によって暖房に掛かるエネルギーを抑えるための基準です。しかしこの基準は決して高いレベルの基準とは言えません。
また、ZEHを実現するためには、対象項目として給湯・照明・冷暖房設備・換気に省エネが求められています。
太陽光発電などの創エネルギー機器を沢山搭載するとゼロエネルギー住宅には出来るのですが、曇りなどで発電できない場合に沢山のエネルギーが必要になるのでは、発電所の負担を減らすことが出来ないからです。
その他の家電製品には特に省エネの規定が無いことに注意しましょう。
纏めると以下になります。
- 給湯・照明・冷暖房設備・換気に一定以上の省エネ機器が利用されていること
- 断熱性能が一定以上であること
- エネルギーの差し引きがゼロになるような、太陽光発電やエネファームなどの創エネ機器を搭載すること
迷いヒヨコ
ZEHにするためには、給湯・照明・冷暖房設備・換気の省エネ化が求められます。
また、太陽光発電などの創エネルギー設備が必須となっており、使用するエネルギー量(の一次エネルギー換算値)以上の発電するエネルギー量が求められます。
※一次エネルギー換算値とは、発電所でエネルギーを作る際に使用する石油や石炭などの化石燃料の量に変換することを指します。
必要な仕様・設備機器 | |
断熱性能 | 一定以上の断熱性能(上の表) |
照明設備 | LED |
給湯設備 | エコジョーズ・エコキュート・エネファームなど |
換気設備 | 一般的な24時間換気 |
暖冷房設備 | 効率の良いエアコン |
創エネ設備 | 太陽光発電システム、エネファームなど |
既存の住宅でもこれらを導入して、断熱をしっかり行えば十分にZEH化は可能です。とはいうものの、解体工事がある一定発生するため、イニシャルコストとしては、新築の方が割安となるでしょう。
それでは、結局ZEHにするためにはどの程度の費用が掛かるのでしょうか?
ここでは、新築住宅を東京や大阪の地域でG2性能の断熱性能で建てることを想定します。
※G2は最も費用対効果が高い断熱性能だからです。
先ほどの表に通常のG2から予想される追加支出を記入しました。
必要な仕様・設備機器 | 通常のG2から予想される追加コスト | |
断熱性能 | 一定以上の断熱性能(上の表) | 無し |
照明設備 | LED | 無し |
給湯設備 | エコジョーズ・エコキュート・エネファームなど | 15~25万程度 |
換気設備 | 一般的な24時間換気 | 無し |
暖冷房設備 | 高効率エアコン | 無し |
創エネ設備 | 太陽光発電システム、エネファームなど | 4kw相当 120~150万程度 |
この表で分かるように、断熱は十分に性能を上回っています。
照明、換気設備、冷暖房は新築の場合は通常最新の機器を導入するので、それでクリアーです。
給湯器も最新の機器を導入すれば良いのですが、一部水栓に節湯型の省エネ水栓を利用する必要があり、これに追加費用が掛かります。
創エネ設備は通常、太陽光発電を導入すれば十分なので、これを4kw相当導入する想定です。
つまり、総額135万~175万程度でZEH化が可能なのです。
迷いヒヨコ
森のくまさん
さて、ZEHにするための費用は分かりました。しかし、太陽光発電に結構な値段が掛かります。
こちらはどのように解釈すべきでしょうか?
下記に全く同じG2性能のZEH仕様の住宅で、
『140万円だけプラスして太陽光発電システムを載せたZEH住宅』と『太陽光が無い住宅』
を比較したシミュレーション結果を示します。(2021年12月試算)
これを見ると、10年目で一旦はほぼ元が取れています。その後、修繕費の違いで支出が多くなりますが、20年目辺りから太陽光発電を載せた住宅の方が得をしている内容になっています。
現金での累計コストで見ると、太陽光発電を載せた方が常に現金での支出は少なくなっています。
つまりローンを組んでしまえば、太陽光発電を載せた方が常に現金での支出を減らせることが出来ると言うことになるのです。
これを見ると、ZEHにしない手は無いという事になります。
<注意!!> あなたの計画が得するかどうかは、別途シミュレーションで確かめる必要があります。
※計算条件:6地域でG2性能の住宅を想定、借入はフラット35で初期の金利は1.33%、総2階建て、3LDK、98㎡、4人家族、ZEH補助金70万円を取得、設備機器や断熱、遮熱性能は全く同じ、その他詳細条件は以下として計算。
迷いヒヨコ
ZEHにすることのメリットは、先の計算のように金銭的に得出来そうだということです。では、反対にデメリットはどこにあるのでしょうか?
デメリットとしては、太陽光発電自体にメンテナンスが必要という事です。
実際にどれだけ、計算上で得すると言われていても、いざメンテナンスに費用が掛かるとなると、躊躇するものです。 ですので、折角シミュレーションで出たメンテナンスコストは是非覚えておき、必要な時期が来たら、当初予定していたメンテナンスと言えそうなのかどうなのかを確認すると良いでしょう。
迷いヒヨコ
ZEHは普及が約束されている?
菅元首相が、2050年までにゼロカーボンを目指す宣言をしてから、政府は急速にZEHの普及を急ぐようになりました。
これを受けて、環境省・経済産業省・国交省の三省はそれぞれ目的別のZEHを扱い、それぞれが補助金を出しています。
- 環境省:戸建住宅におけるZEH・より高性能なZEH+、集合住宅(高層以下)
- 経済産業省:戸建て住宅におけるより高性能な次世代ZEH+、集合住宅(超高層)
- 国土交通省:ZEHの施工経験が乏しい事業者に対する優遇
さらに政府は今後の目標として、2030年段階、2050年段階の目標を定めました。
参考 エネルギー基本計画 令和3年10月経済産業省内容を要約すると以下になります。
- 2030年目標:新築される全ての住宅・建築物にゼロエネルギー水準の性能確保を目指す(P43)
新築戸建て住宅の6割に太陽光発電を設置(P59) - 2050年目標:住宅や建築物全ての建物を含めて、平均でゼロエネルギー化を実現(P30)
設置することが可能な住宅・建築物全てに太陽光発電設置(P59)
以上の目標から、今後は全ての工務店・ハウスメーカー・設計事務所にZEH対応が求められることになります。
先ほどのシミュレーションでは、ここ10年程続いているZEHに対する補助金を利用する前提の計算を行いました。
今後はこれに加えて、ZEHを更に普及させるために様々な補助金や金利優遇、税制優遇が検討されていて、そのうち実現されるでしょう。
このような時代の流れを考えても、新しい住まいも既に住んでいる家でも、ZEH化は是非すべきです。
迷いヒヨコ
2022年東京都の補助金がかなり太っ腹!!
東京都の補助金の内容が1/28に発表されました。
これによると、G2断熱で省エネが基準一次エネルギーに比べて40%超えだと、246万円もの補助金が貰えるようです!補助金の詳細は、東京都の役所にお尋ねください。
これを達成するための家の仕様の目安は以下です。達成にはそれほど追加費用は必要がないため、かなり良い補助金となっています!上記でZEHに必要な仕様としたものと殆ど変わりません。参考にしてみて下さい。
6地域の場合 | 必要な仕様・設備機器 |
断熱性能 | G2以上 |
照明設備 | 全てLED |
給湯設備 | エコキュートでJIS効率(年間給湯保温効率)4.0以上 つまり最新のもの 保温浴槽、ヘッダー給湯かつ分岐後A13以下(床下の配管施工方法) 水栓はキッチン、風呂のシャワー、洗面で、手元止水・水優先吐水・小流量吐水の機能があるもの |
換気設備 | 一般的な24時間換気 |
暖冷房設備 | 効率の良いエアコン(い)以上 つまり2010年以降の高い効率のもの |
創エネ設備 | 太陽光発電システム3kw以上 |
コメントを残す